設備課
ニットービバレッジ株式会社様は、北アルプス立山連峰を臨む富山県東部・朝日町という水資源の豊かな立地を生かし、OEM製品を中心に多種多様な飲料を製造されています。
今回は、同社でM2Xの全ラインへの導入を主導いただいた設備課・立野様に、導入前に感じられていた課題や導入後の効果について、お話をお伺いしました。
ベテラン社員の経験値に依存した属人的な保全活動が行われ、設備に関するナレッジが暗黙知化していた…
最も課題と感じていたのは、特に事後保全がブラックボックス化していたことです。M2Xの導入前から設備トラブルの記録をExcelの帳票には残していましたが、記録の仕方は記載する個人に依存していました。帳票のフォーマット自体は統一されているものの、記載者によって書きぶりが全く異なるため、どういう対応をしたのか、部品交換をしたのかといった大事な点がわからない記録も多々ある、という実態でした。そのような状況だったので、メンバーの入れ替わりが生じると、退職した方が扱っていた設備のことは誰もわからなくなってしまう、というようなことも生じていました。
事後保全だけでなく、定期点検等の予防保全活動についても属人的な状況で、長年勤務しているベテランの方の”秘伝のたれ”のような経験値を基に、定期点検が実施されてきていました。端的に言ってしまうと、その熟練者がいないと何もできない状態。また、予定していた点検の日に突発的な設備トラブルが起きると、予定されていた点検の実施が漏れてしまうというようなこともあり、その時の点検漏れによって後々の設備故障に繋がり、生産活動に影響が出る、といったことも起きていました。
M2Xの利用によって、チームでの保全活動が可能に。チーム全員が同じ情報にアクセスし、リアルタイムで連携できるため、個々の対応力も向上。
一番の変化は、チーム全員で同じ情報をリアルタイムに共有できるようになったことだと思っています。特に、トラブルが起きた時に画像や動画のような客観的な情報に全員がすぐアクセスできることは非常に大きな変化です。
また、その変化を起点に様々な副次効果に繋がっていると感じています。
まずは、トラブルが起きた際の打ち手の進化です。M2Xを導入してから、毎月月末にM2Xの未完了案件の進捗確認会を実施し始めました。チーム全員でM2Xの画面を確認しながら、まだトラブルが解決していない要因や、対応についてこうした方がいいのではないかといった議論ができるようになりました。
最近では、トラブル履歴を材料としつつ、予防保全の観点での打ち手を議論できるようにもなってきています。「このトラブルを踏まえると、この定期点検の項目にxxを追加した方がいいのではないか?」といったように、設備トラブルの履歴を基に、予防保全活動の進化にも繋げられていると実感しています。
次に、チームのタスク分担の平準化です。以前はトラブルが起きた時には、その時の勤務状況に応じてオペレーターから設備課のメンバーが電話やショートメッセージで連絡を受けており、チーム内の連携は殆どできていませんでした。M2Xを使い始めてからは、トラブルが生じたことを全員が同時に確認できるため、状況に応じてアサインを割り振ったりすることができるようになりました。同時に、各トラブルの履歴をチーム全体に共有しながら蓄積できているため、課内で担当設備を広げることにも繋げられています。今まで特定のメンバーが担当していた設備のトラブルでも「今回のトラブルは以前のこのトラブルと対応が近しいね」というような確認をしながら、これまでその設備に触っていなかったメンバーが担当する、といったことにも繋げられています。
今は、ラインごとに大まかな担当を分けてはいますが、徐々に誰でもどの設備も担当できる状況を作っていきたいと考えています。
更なるM2Xの活用によって、工場ひとりひとりのスキルアップを実現していきたい
大きく2点あります。
1つ目は、トラブル履歴をもっと残していくことで、予防保全活動の進化に繋げていきたいと思っています。既に、直近起きたトラブルを材料に点検項目を増やしたりしている、という話をしましたが、設備課全体で記録をしっかり残すことで、各設備の点検表そのものを進化させていきたいと思っています。
2つ目は、設備課に閉じず、製造ラインも含めて社員ひとりひとりの対応スキルを向上させていくことです。まずは設備課から…とは思っていますが、たとえば設備管理の中で生じる部品交換については、どの部品であっても誰でも対応できる状態を作りたいと思っています。M2Xがあればそれも実現可能です。M2Xはとにかく私たちが感覚的に使いこなせるのがいいところだと思います。今後もそこは追及してほしいところです。