なぜいま設備保全DXが求められるのか?

近年、設備保全のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を求める声が高まっています。これは、一過性のDXトレンドでは無く、今後、設備保全を取り巻く環境が深刻化していくことが背景にあります。この記事では、いま設備保全のDXが求められる理由について解説します。

目次

設備保全DXを促す3つのメガトレンド

設備保全のDXが求められる理由として、①人手不足、②熟練技術者の引退、③設備の老朽化、の3つのメガトレンドが挙げられます。

①人手不足

今後、日本においては圧倒的に労働力が不足します。2040年には1,100万人の労働力が不足すると言われており、これは現在の近畿地方一帯の就業者数がすっぽりと消滅するのに等しい規模と言われております。

特にその影響を受けると言われているのが物流や介護といった生活維持サービスですが、製造関連の職種も不足するのは間違いなく、特に設備保全に関わる人材の確保は、足元でも非常に難しく、人材不足が深刻化しています。

今後の人手不足の深刻化によって、場合によっては少ない人数で設備保全の対応を求められることが増えてくる可能性が考えられます。

②熟練技術者の引退

上記の人手不足とも関連しますが、今後進んでいく熟練技術者の引退は、単なる人手不足とは異なる影響を設備保全の現場にもたらします。暗黙知の消失です。

熟練技術者が長年培ってきた知恵や経験は、その多くは熟練技術者の頭の中に蓄積されています。熟練技術者が現役のうちは、困ったことがあれば頼ることができますが、今後はそれが難しくなってきます。

労働の流動性が上がり、十分な経験のない作業員が現場に増えてきていることも相まって、熟練技術者の引退による暗黙知の消失は、不慮のトラブルの発生やトラブル時の対応を長引かせる要因となるリスクがあります。

③設備の老朽化

いまに始まった問題ではありませんが、設備の老朽化は今後更に深刻化していきます。

当然のことながら、設備は老朽化すればするほどトラブルが起こりやすくなり、また点検箇所も増えていきます。古い設備を大切に使い続けていくためには、こまめなメンテナンスが必要となります。

3つのメガトレンドが示唆するもの

上記の3つのメガトレンドが示唆するものは何でしょうか。 それは、「メンテナンスの担い手は足りないし、ノウハウが現場にないのに、メンテナンスの機会/必要性は増える」という状態に今後なり得るということです。

設備の老朽化により、今後メンテナンスをしなければいけない場面は確実に増えていきます。にも関わらず、人手不足で現場に十分な作業員を確保できず、更には暗黙知の消失によって正しいメンテナンスが出来なくなるおそれが出てくるのです。

まさに設備保全の現場にとっては「三重苦」とも言える状況が今後待ち構えており、早めの対処が必要で、そのために設備保全のDXが求められています。

DX実現に向けて持つべき視点

上記の「3重苦」を回避するためには、デジタルの力をフル活用して、少ない人数でもチーム全体でノウハウを共有し、スピーディーに対応できるようにする必要があります。

自社の課題に合わせて適切なソリューションを選んでいく必要がありますが、設備保全の場合、どの現場にも共通して考えるべきは、

作業員の業務を効率化するものか
本質的な課題を解決するものか
投資対効果が見合うものなのか

という点です。

メンテナンスは、IoTを駆使しても、最終的には人が行う必要のある作業です。機械は機械を直せません。したがって、生産ラインとは異なり、抜本的な自動化が難しく、人が介在しなければいけないことを念頭に適切なソリューションを選ぶ必要があります。

また、そのソリューションが、解決したい課題に本当に寄与するものなのかを考えるのも重要です。IoTセンサーを張り巡らせてデータがたくさん集まったは良いが、結局その解析に大きな時間を要してしまうのであれば本末転倒です。

最後に、当然のことながら投資対効果(ROI)は良く吟味する必要があります。そのソリューションによってどれほどの業務が削減されるのか、どのようなトラブルの削減が期待されるのか。これらのことを考慮した上で、最も投資するに値するソリューションを選ぶ必要があります。

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岡部 晋太郎 株式会社M2X 代表取締役CEO
東京大学卒業後、総務省にてIT政策の企画立案を担当。その後、外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループに入社し、製造業における中長期の戦略立案、DX等を担当。メンテナンスの重要性と可能性に惹かれ、2022年に株式会社M2Xを創業

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