失敗しない帳票電子化ソリューションの選び方

近年、製造現場のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は一大トレンドとなっており、様々なサービスが世の中には溢れています。ユーザー目線で考えると、選択肢が増えることは嬉しいが、どれを選べばよいかわからない、導入して失敗するのが怖くてDXしたいが進められない、といった方も多いかと思います。この記事では、帳票電子化サービスを選ぶ際に持つべき視点について解説します。

目次

帳票電子化の目的

帳票電子化ソリューションの選定の視点に入る前に、そもそもなぜ帳票を電子化する必要があるのでしょうか。

「電子化して現場に溢れる紙を無くしたい」「現場のデータを集めて分析したい」「属人化している業務を見える化したい」…これらのニーズはどれも電子化により実現される効果ですが、重要なのは、これらが最終的な目的ではない、という点です。

帳票電子化の最終目的は、「業務を改善する」ことであるべきです。

いくら紙が無くなっても、データが集まっても、それによって業務が改善し、会社の収益により貢献できる形にならないと意味は有りません。

したがって、帳票電子化の最終ゴールは「紙を電子化することにより、データを収集しやすくし、それらを分析することで業務を改善する」であるべきだと思います。

帳票電子化をする際に持つべき視点

それでは上記の目的は、なぜ紙やエクセルでは実現できないのでしょうか?

紙やエクセルであっても、現場のデータをつぶさに記録し、それをエクセルに丹念に転記し、ピボットテーブルを回すことで分析をし、その結果を以って業務を変えることは可能です。

ただ、それには大きな工数を必要とします。現場に十二分なリソースがあれば、紙やエクセルでも目的は実現できますが、多くの現場では、むしろ人手不足で設備保全の担い手は足りず、一人当たりの業務量が増えている、というのが現実ではないでしょうか。

したがって、帳票電子化する際には以下のふたつの視点を持つことが重要です。

①最終的なゴールである、業務変革に寄与するものであること

②その変革が、できるだけ低工数で実現できること

③(当然ながら、) 投資対効果が高いこと

紙を無くすこと自体が目的ではないと思いますし、せっかくアプリケーションを入れても現場の負担が変わらない、ということでは本末転倒です。

帳票電子化ソリューションの類型

巷にあふれる帳票電子化ソリューションですが、大きく二種類に分けることができます。

A: 汎用型:生産管理や品質管理、設備保全等、様々な業務に横断的に使えるもの

B: 特定業務型:特定の業務(例えば設備保全等)に特化した形で使えるもの

各類型の評価

では、それぞれの類型を、上記の視点に照らして考えるとどうなるでしょうか。

ポイントは、上記ふたつの視点のうち、①業務変革への寄与と②低工数の実現は、汎用的なものになればなるほど、その達成が難しくなる傾向にあるという点です。

汎用的であるということは、複数業務の共通項を括りだした、最大公約数的なプロダクトにならざるを得ません。結果として、特定業務に向けた作りこみが難しい、もしくは作りこもうとすると膨大な工数が必要となる、という関係があります。

以下が、3つの選定の視点を以って、各サービス類型を評価した結果です。

業務変革への寄与度低工数での実現投資対効果の高さ
A:汎用型△:汎用的な作りとなるため、特定業務の深い課題を解きづらい△:特定業務の課題を解きに行こうとすると、多くの工数が必要?:サービスの価格による
B:特定業務型〇:その業務の深い課題を解くために設計されている〇:特定業務を念頭に作られているため、比較的低工数で済む?:サービスの価格による

上記は一般的な傾向であるため、サービス選定において考えるべきなのは、「どのレベルの電子化が実現できると、最終的な変革が達成されるか」ということでしょう。

紙を無くせば変革が達成されるのか、それとも、より業務フロー全体に亘る変革が必要なのか。まさにDXの目的を突き詰めて考えることで、必要なサービスが見つかると思います。

M2Xは、稼働率を支える設備保全に特化し、業務変革を実現する機能を多数用意しています。是非お問い合わせください。

岡部 晋太郎 株式会社M2X 代表取締役CEO
東京大学卒業後、総務省にてIT政策の企画立案を担当。その後、外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループに入社し、製造業における中長期の戦略立案、DX等を担当。メンテナンスの重要性と可能性に惹かれ、2022年に株式会社M2Xを創業

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