なぜ「設備トラブル」が増えているのに、出来高が増えるのか?

設備トラブルの時間が増えれば増えるほど、生産ラインは止まることになるため、当然のことながら工場での生産量は減少していくこととなります。しかしながら、M2Xのお客様の中には、弊社のアプリを使うことによって、記録上「設備トラブル」が増えているのにも関わらず、生産量が大きく伸びる、という現象が起きました。なぜこのような現象が起きたのか、以下の記事で解説します。

目次

可視化されていない設備トラブルの存在

設備トラブルには、軽微な「チョコ停」から重大な「ドカ停」まであり、そのすべてを記録している現場は稀です。多くの現場では、例えば設備が10分以上停止した場合は帳票に記録する、というようなルールを設けているところも多いかと思います。

したがって、紙上に記録されている設備トラブルの数・停止時間は、必ずしも現場のすべてのトラブルを表している訳ではなく、現実は記録上よりもたくさんのトラブルが起こっていることがほとんどです。つまり、可視化されていないトラブルは現場に多く存在します。

埋没している設備トラブルを可視化するには

それでは、設備トラブルを可視化するにはどうしたら良いでしょうか。

「チョコ停も含めてすべてのトラブルを記録する」と現場の運用ルールを変え、あらゆるトラブルを記録するというのは非現実的です。

実は、現場のトラブル記録の運用を変えなくても、トラブルの記録/入力のし易さを変えるだけで、これまで十分に把握できていなかったトラブルの存在が浮き彫りになることがあります。

現場担当者は日々忙しく、まずはトラブルの記録ではなく対応が最優先となるため、決められたルールの中でも必ずしもすべてのトラブルを記録出来ていないことがあります。

この問題を解決するひとつの方向性は、どうしても後回しになりがちな記録/入力作業の工数をできるだけ少なくし、担当者の負担を減らすことです。

埋没しているトラブルのほとんどは、担当者の方が、「あとで記録しておこう」と思いながらも忘れてしまっているものがほとんどです。それらの記録をどう簡略化させるか、漏れなく拾い上げるには、入力の負担を下げることが重要です。

M2Xを活用している現場で起こったこと

M2Xを活用すると、担当者の方は紙に比べて、格段に帳票への入力が楽になります。

例えば、設備に貼ったQRコードをスマホでスキャンすれば設備情報は自動入力されますし、トラブルの内容も毎回手書きする必要なく、ワンクリックで選択が可能です。

入力のし易さと、記録の多さは相関します。M2Xのお客様においては、結果として、導入前よりも記録上のトラブル件数は増えました。にも関わらず、工場の出来高は増え続けるという現象が起こりました。

これは、「正しいデータに基づき、正しい判断が頻度高く行えることになった」ことが起因しています。これまで拾い上げられなかったデータがリアルタイムで集まることにより、大きなトラブルの予兆や、ささいな生産状況の変化にも気付きやすくなります。こういった現場の変化を早めに察知し、先手の対応を取ることで生産量の拡大を実現したのです。

IoT等のソリューションの導入によって、現場の状況を可視化することは可能ですが、それには大きな投資が伴います。今回ご紹介した事例は、そのような大きな投資をしなくても、現場の帳票入力の工数を下げることにより、改善に繋げられる余地が多分にあることを示しています。

この記事を通じてM2Xに関心をお持ちいただけた場合は、是非お問い合わせ欄からご連絡ください。

岡部 晋太郎 株式会社M2X 代表取締役CEO
東京大学卒業後、総務省にてIT政策の企画立案を担当。その後、外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループに入社し、製造業における中長期の戦略立案、DX等を担当。メンテナンスの重要性と可能性に惹かれ、2022年に株式会社M2Xを創業

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