生産技術課
生産部生産課 課長代理 兼 生産技術課
株式会社友桝飲料様は、佐賀県小城市を拠点に、明治35年の創業以来120年以上にわたって続く飲料メーカーです。『こどもびいる』や各地のご当地サイダーをはじめとして、お客様のニーズに寄り添い、思いの詰まった製品づくりに貢献されています。最初に富士山工場にて設備保全DXアプリ「M2X」を導入、その効果を評価いただき、次いで小城工場でも導入を決定いただきました。今回は富士山工場の皆さまに、導入の背景や導入後の効果についてお話を伺いました。
<ご所属・お名前>株式会社友桝飲料生産技術課 堀内 翔太 様生産部生産課 課長代理 兼 生産技術課 柴山 豊希也様
設備トラブルの報告は、LINEと口頭でのやり取りが中心でした。口頭のみでは情報共有の相手が限られ「一部の人だけが知っている」ということになりがちです。一方、LINEでは記載が簡潔になってしまい、詳細の共有は不十分でした。写真を添付したとしても、いざ類似トラブルの発生時に見返そうとすると画像の期限が既に切れているなど、情報の蓄積・活用に課題を感じていました。
部品の管理も属人化していました。部品情報や在庫数は基本的に私がすべてExcelに打ち込んで管理していたため「何がどこにいくつあるかを知っている」のは自分だけという状態でした。現場から報告が漏れると「知らない間に在庫が減ってしまう」 こともしばしばあり、管理に抜け漏れがあることにも課題感を持っていました。
保全には班長以上に絞っても10名以上のメンバーが関わるので、このような運用を継続していくことに限界を感じていました。そのため、設備保全に特化したツールであるM2Xの導入を決めました。
口頭・LINEによる情報共有・Excelによる管理の限界を感じていた
すぐに実感したのは「過去の記録の参照しやすさ」です。M2Xは、トラブルがあった時に過去のトラブルの記録を簡単に呼び出すことができます。以前のLINEでの報告だけでは簡潔になりすぎて結局よくわからなかったのですが、M2Xのおかげで、一つひとつのトラブルの詳細や使った部品等を正確に確認できるようになりました。
また、上長に詳細の報告を求められた際に、トラブル記録を簡単にPDF出力して報告できる機能も活用しています。
新人の育成においても効果的だと感じています。軽微なトラブルは生産現場で解決するようにしているため、定期的に入社してくる新卒・中途社員がどれだけ早く自力で解決できる状態になるかは重要なテーマです。新入社員が困った時、M2X上で過去の類似トラブルや設備や部品の関連情報をいつでも参照できるので、彼らの教育にも一役買っていると思います。
設備や部品の一元管理も進みました。設備と部品の各ページに図面などの情報をすべて載せられるので、現場で確認する際にも非常に便利です。以前、Excelで管理していた際も、各部品の画像を部品ごとに貼っていましたが、非常に見にくく、実際にはほとんど活用できていませんでした。
また、M2Xではトラブル記録と併せて部品交換も記録でき、自動的に部品在庫に反映されるため「部品在庫が知らぬ間に減っている」ことも無くなりました。何千とある部品の中には、同じように見える部品でもミリ単位で違うものがあります。頻繁に部品交換が発生する設備では、取り違えのリスクもあります。M2Xでは正確にどの部品かを区別でき、過去の交換履歴も一目瞭然なのでミスの心配が少なくなりました。
過去の記録の参照のしやすさを実感。新人教育にも効果的設備や部品の情報一元化により、ミスのリスクも減少
M2Xの活用だけでなく、複合的な要因によるものではありますが、実は、昨年の今頃は、想定外のトラブルがいくつか続いてしまった背景もあり、稼働率が90%を切ってしまうこともあったのですが、現在は安定的に94~95%で推移しています。もちろん、複数の要因が絡み合っての結果ではありますが、M2X導入による業務効率化も確実に稼働率向上に寄与していると思います。
また、導入前は現場から月に1~2回、深夜に緊急の電話がかかってくるといったことがありました。M2X導入後はこの頻度は明らかに減ったと感じます。部品の在庫や過去のトラブル対応をM2X上で参照でき、現場で解決できるようになったという点が大きいのではないかと感じます。当然このことが、トラブル時のライン停止時間の短縮にもつながっています。
本格的な運用はこれからですが、予算管理にも活用しようとしています。ダッシュボード機能で、1年間に使った部品や金額を一覧化できるので「何を補充すれば良いか」「金額はどれくらいかかるのか」が一目でわかり、オーバーホールの予算計画も立てやすくなりました。M2X導入前は大体の感覚で予備部品を発注していましたが、今は正確な額が出せるようになり、予算の適正化にもつながっていく可能性を感じています。
深夜の呼び出し電話の頻度が減少、ライン停止時間の短縮、稼働率の向上につながっている
最終的にはAIを駆使して、ChatGPTのように、知りたいことを話したり打ち込むだけで、類似の情報がまとめて出てきたり、最適な回答を導き出してくれたりすれば更に便利になるだろうなと思っています。まだ先の話だとは思いますが、これまでも様々な機能がアップデートされてきているので、期待しています。
導入する段階で、これまでの業務を移行するイメージを持ちながらプロダクトの説明を聞きました。ただ、これまでLINEやExcelでやっていたことを移行するだけで、明らかに効率化できるはずだというイメージが明確にあったため、特別な工夫はしていません。
導入初年度は、とにかく「ひたすらデータを溜めていくことが重要」だと思います。部品も点数が膨大ですが、諦めずに一つ一つ登録していくことが大事です。時には、トラブルの対応が完了してから登録することがあっても良い、くらいに考えて、まずは、M2X上にデータを集約していくことが後々の効果を最大化することに繋がる、と全員で意識を揃えることが重要ではないでしょうか。M2X上にデータが蓄積されていくにつれて、過去の情報を確認したり部品を探したりする時間が減ってきているな、と実感できるようになると思います。
M2Xを積極的に活用していくことでデータが蓄積し、先々の効果の実感につながる