2026.8.18


株式会社ファイン
属人化解消
ナレッジ化
事務工数削減
リアルタイム可視化
部署横断連携
標準化
課題
保全・修理の記録が残らず、経緯を思い出すだけで20〜30分から1時間の間接時間
チャットツールでの共有は検索が難しく、見逃しも多い状態
予備品の発注は口頭連絡のため正確な伝達が困難。欠品と重複発注の両方が起こり、2〜3週間の到着待ちも発生
予備品(部品・消耗品)の台帳がなく、過去の見積もりの検索と事務スタッフとのやり取りに1件20分
解決策
工事や部品交換の実施記録をM2X上に登録。記憶頼みだった過去の対応を、見返せる形で蓄積
写真付きの予備品台帳に見積もりを紐づけ。型番・写真・過去の見積もりを現場と事務スタッフが同じ画面で共有
発注時に事務スタッフへ通知が飛ぶ仕組みによる、発注状況の可視化
M2Xの予備品管理機能を使った棚卸の実施
効果
予備品の見積もりのやり取りが、1件20分から5分もかからない状態へ
事務スタッフの席まで行かずに、同じ画面を見ながら共有が完結
重複発注はなくなり、在庫切れもほとんど発生しない状態へ
置き場所を知らなかったスタッフも、予備品の在庫を把握できる状態に
株式会社ファインは、健康食品・サプリメントの原料の研究開発から、製剤・包装までを一貫して手がけるメーカーです。自社ブランド商品の展開とあわせて受託製造も行い、健康補助食品GMP・ISO9001の認証を取得した工場で、錠剤・カプセル・粉末・ドリンクなど多様な剤型を生産されています。
兵庫県内に3つの工場を構えており、今回お話を伺った上郡テクノ工場もそのひとつです。設備の点検や修理は、専門部署である工務課と、各工場の生産部が連携して担っており、交換用の予備品(部品・消耗品)の手配も現場の重要な業務のひとつです。
今回は、上郡テクノ工場で予備品管理からM2Xの運用を始められた生産部 課長代理の田中 優次様に、導入前の課題と現場に起きた変化についてお話を伺いました。
— まず、田中様のご担当業務と、生産部の役割を教えてください。
田中 優次様(以下、田中さん):全体の製造の状態を見ながら、工務課と連携して機械の点検をしたり、消耗品の発注を事務のスタッフと連携して進めたり。人が足りなければ製造にも入ります。基本的に、工場全般で何かしら関わっている形です。生産スケジュールの確認もしているので、生産管理的なところも見ています。
— 大事にされていることは何でしょうか。
田中さん:間接時間の削減です。間接時間とは、機械を動かしていない時間のこと。そこを削り、できるだけ製造に使える時間を増やすことを目標にしています。
— 保全は、どのように分担されているのですか。
田中さん:機械メーカーとのやり取りや、本格的な修理の段取りは工務課が担当します。ただ工務課は3つの工場を見ているので、常駐ではなく、移動しながらこちらも見てくれる形です。簡単な修理は私たち生産部でも対応し、過去に同じ事例があれば覚えている限りで動きます。初動の確認までこちらで済ませて報告し、どうにもならないとなったら工務課が動く、という流れです。ただ、専門的な知識が必要になるものは、やはり工務課に頼むことになります。

— M2X導入前は、記録まわりでどんな課題がありましたか。
田中さん:過去に対応した内容を、後から思い出せないことが多かったですね。対応したこと自体は「記憶」に残っていても、「記録」として残す習慣がありませんでした。業務で使っているチャットツールには残すようにしていましたが、そこを見る前に電話で聞かれてしまう。「わざわざチャットツールに書くほどのことでもない」と流してしまうこともあり、覚えていなければ見返す先がない。探すのも大変で、見逃しも多い。そこが問題でした。
— 記録が残らないことで、どんな問題が起きていましたか。
田中さん:自分が分かっているから問題ない、と思ってしまうと記録が残りません。そうなると周りからは、その対応が済んだのかどうかも分からない。同じようなことが起きたときに、また一から同じ説明を繰り返すことになるので、効率が悪い。「ここは確認しておく」と決めたはずのことが抜けてしまうこともありました。
ー それが設備の停止につながることもあったのでしょうか。
田中さん:止まっていた時間そのものの記録はありませんが、過去のやり取りをお互いに思い出しながら話していると、それだけで20〜30分、長いときは1時間くらい過ぎてしまいます。その分がそのまま間接時間になります。
— 部品や消耗品の管理はどうでしたか。
田中さん:部品を使ったら、使った人から私に口頭で伝えてもらうルールでした。それを受けて、私と事務のスタッフで見積もりを取り、稟議を上げて発注をかけます。ただ、口頭のやり取りなので伝え漏れが出てしまう。それに「ここにはないけれど、他の場所にあるだろう」と自分で判断して、そもそも伝えない人も結構いました。結果として、次に使おうとしたときに在庫がない。その時点で分かっても、もう手遅れです。
— 在庫が見えていないと、影響は大きいですね。
田中さん:欠品すると、部品によっては注文してから届くまでに2〜3週間かかることもありました。その間は工務課に相談して応急処置で動かしますが、また壊れるかもしれないし、動いていても安定しない。逆に、使う頻度が高いものは「いつか使うだろうし」と重複して発注することも何度かありました。在庫が見えていないので、足りないことも、多すぎることも起きていました。
— 事務のスタッフとの見積もりのやり取りについても伺えますか。
田中さん:過去の見積もりは共有フォルダに保管して、事務のスタッフが仕分けもしてくれていました。ただ、私から依頼するときは「こんな感じの部品で、過去に購入していると思います」という大雑把な説明になってしまう。そこから探してもらって「型番はこれですよね」と送ってくれるのですが、型番だけでは私にも分からず、こちらでもう一度調べ直すことになる。結局、私が写真を撮って送り、その写真を見て型番を特定してもらうこともよくありました。過去の見積もりの検索とやり取りを合わせると、1件で20分かかることもあり、そこが一番のネックでした。
— M2Xを知ったきっかけを教えてください。
田中さん:上長が展示会で見つけてきたのがきっかけです。私が課題として挙げていたことがそのまま解決できそうだったので、まずはこのテクノ工場から入れてみよう、という話になりました。なかでも期待していたのは在庫管理です。在庫の個数が管理できるだけでも全然違う。「この在庫、ありますか」と聞かれるたびに探しに行く、ということがなくなりますから。
— 他に、これは良さそうだと感じた点はありましたか。
田中さん:事務のスタッフや工務課と同じ画面を見られる、というところです。離れた場所にいても、同じ画面を見ていれば同じイメージを持ってもらえる。「この部品ですよね」というのは、型番だけを伝えても、工務課でもなかなか分かってくれないときがあります。同じものを開いて見て共有できるのはいいな、と思いました。
— 社内的には、どういう価値になると整理されたのでしょうか。
田中さん:間接時間の削減です。間接時間が減ることで工務課の手も空き、事務のスタッフや他の方の手も空いて、他の作業に回せます。

— 導入後、最も変わったところはどこですか。
田中さん:一番変わったのは、見積もりのやり取りです。以前は過去の見積もりの検索とやり取りを合わせて1件で20分かかることもありましたが、今は5分もかかりません。M2Xで「この部屋のこの機械の部品です」と言えばすぐ検索でき、関連項目に見積もりが出てきます。一覧を見て「これです」と伝えれば、事務のスタッフも同じ画面を見ているので「これですね」で決まる。席まで行く必要もありません。
— 何が、そこまで変えたのでしょうか。
田中さん:M2X上の部品台帳では写真ですぐに判別できることだと思います。以前は型番だけをやり取りすることが多く、物が手元にない状態で型番だけを伝えられても、こちらでは判断できません。そのままインターネットで検索して画像を探したり、「これはこうでしたよね」という確認を何回も繰り返していました。今は一覧に出てきたリストの写真を見て「これです」と指定でき、電話をしなくても事務のスタッフに伝えられます。
— 部品や消耗品は、以前はどう管理されていたのですか。
田中さん:部品や消耗品については、台帳をつくって管理することをしてきませんでした。M2Xで初めて台帳ができ、画像も品番もそこに集約されたので、同じものについて話が通じるようになりました。共有もしやすくなりました。
— 在庫の管理そのものは、どう変わりましたか。
田中さん:M2Xの予備品管理の機能を使って、これまでできていなかった棚卸をやるようになりました。今まで置き場所を知らなかったスタッフも「ここにあるんだ」と一緒に把握できる。在庫数が見えるようになり、発注のタイミングで事務のスタッフにメール通知が届くので、重複して発注することもなくなりました。在庫切れも、最初のうちはありましたが、回数は明らかに減り、今はほとんどなくなりました。「この在庫ありましたっけ」という確認もなくなってきています。置き場の見直しはこれからの部分もありますが、効果は着実に出ています。
— 今後、設備保全DXをどう進めていきたいとお考えですか。
田中さん:在庫の管理ではヒューマンエラーをできるだけなくしていくこと。あとは置き場所をしっかり記録して、分かりやすくすることです。継続的に棚卸をして、情報をみんなで共有していくことも必要だと思います。私がずっと現場にいるわけではないので、不在のときに必要になっても、置き場所や在庫の数が共有されていれば、探す手間も、電話がかかってくることもなくなります。
また、部品の使用実績の記録から金額も可視化できるので、予算計画を立てる時にも活かせる可能性があると思います。
— 保全情報の記録については、いかがですか。
田中さん:記録は今後も続けていきますが、大まかなところは私が登録している状態です。他の方でも登録できるようになり、それを見て初期対応だけでもできるようになる。そのあたりを進めていきたいと考えています。
今回の取材で強く印象に残ったのは、「きっと他の場所にあるだろう」という判断が、そのまま欠品につながっていた、という田中様のお話でした。個人の記憶や判断に委ねられていた部分を、写真付きの予備品台帳という誰でも見られる形に置き換えられたことが、今の変化につながっているのだと感じました。
また、これまで手が回っていなかった棚卸に取り組まれたことで、一部のスタッフしか知らなかった在庫の置き場所も、みんなで把握できるものに変わっていました。システムを入れることが目的ではなく、それをきっかけに現場の運用そのものを見直されている。「置き場の見直しはまだ足りていない」と率直におっしゃる姿勢も含めて、地に足のついた進め方だと感じました。
一方で、M2Xとしてまだお役に立てる余地も残っています。設備・予備品の一括登録や、蓄積したデータをコスト面から見る使い方など、ご一緒に進められることがあります。「情報をみんなで共有する」という次のテーマに向けて、引き続き伴走させていただきます。
(取材・文:M2X)