休日出勤「ゼロ」を実現した、京都プラテックの保全改革。

株式会社京都プラテック
事業内容
プラスチック成形品の製造/プラスチック成形金型の設計及び製作 ・電子機器ユニットの開発、設計、モデリングから製造まで請負
創立
1982年2月
従業員数
130名
属人化解消
事務工数削減
承認・共有の効率化
課題
帳票の電子化は別のシステムで進めていたが、提出後の「タスク管理」ができず、修理対応がしばしば滞っていた
通知やリマインド機能がないため、報告が埋もれ、誰がいつ着手しているか追跡できない
課長一人が修理のタスクを抱える状態。承認・申し送りも結局「紙回覧」に逆戻りしていた
修理着手の遅れが残業・休日出勤につながり、現場の体力でカバーする運用が常態化
解決策
タスクの見える化と通知やリマインドで「報告」にとどまっていたものを「依頼→対応→完了」のタスク運用へ転換
担当者アサイン、承認フロー、案件についてのやりとりがM2X上に集約され、すべて記録として残る
設備・金型ごとのQRコードで、現場のスマホから過去履歴をその場で参照
直感的なUIと自由度の高いテンプレートで、自社の運用に沿った帳票・項目を内製で構築
効果
月に2回発生していた休日出勤が、年明け以降ゼロに
突発停止からの復旧が2〜3日 → 1日以下に短縮
トラブル着手まで最低1日(翌日)かかっていたものが当日着手が当たり前に
管理職の確認、承認作業も5件あたり15分 → 3〜4分に短縮(約75%の時間削減)
QRコードで過去履歴を現場参照。夜間トラブルも、過去の対応例をもとに現場の若手のみで解決できるケースが増加
株式会社京都プラテック様は、1982年の創業以来、プラスチック射出成形を軸に、金型設計から成形・2次加工・基板実装・完成組立までを社内で一貫して手がけられている総合プラスチック成形メーカーです。京都府久御山町の本社工場を中心に、海外でも事業を展開され、自動車・家電・医療機器・LED照明・産業機器・センサー機器など幅広い分野へ高品質な成形品を供給されています。
本社工場の射出成形ラインは土日以外24時間稼働。設備も金型も“一番いいコンディション”を保ち続けることが、品質と生産性の生命線です。一方で、日々発生する設備・金型のトラブル対応と、トラブルを未然に防ぐ予防保全の業務を、いかに属人化させずに回していくかが現場の大きなテーマでした。今回は、本社工場の射出成形ラインを支える、製造部 製造1課 製造チームの皆様に、M2X導入の経緯と現場で起きた変化を伺いました。
製造部 製造1課 製造チーム 課長 小林 弘明 様(以下、小林)
製造部 製造1課 製造チーム 主任 西谷 信吾 様(以下、西谷)
ー まず、製造1課 製造チームの役割と、お二人のお立場を教えてください。
小林さん(以下、小林):製造1課の製造チームは、京都プラテックの主力である射出成形製品の製造を担っています。「予定通りに物を作る」ことはもちろんですが、扱っている設備や金型のメンテナンス・保守保全もチームの重要な業務に含まれています。製品の品質を維持し続けるために、設備も金型も“一番いいコンディション”を保つことが求められます。品質や生産性に響くトラブルを最小限にし、起きてしまったら早期に解決することが必要ですが、そのことにずっと苦労してきました。
チームの技術者は15名、作業者も含めると30〜40名規模です。私はその責任者として、チーム全体の管理を担当しています。
西谷さん(以下、西谷):私は同じ製造チームに所属しており、基本的には射出成形のものづくりがメインです。それと並行して、設備保守のメイン担当としても動いており、日々の修理対応や段取りに携わっています。
小林:課としての目標は、生産量の担保、つまりロスをなくしていくことです。機械が動いていないこと、それがそのままロスにつながりますから、一定の時間の中でいかに数多く作るか。現場としては、1つの製品の生産時間を短くする工程改善と、ダウンタイムを減らすこと。金型・設備の両面で、予防保全が本当に重要だと考えています。

ー M2X導入前に、保全業務でどのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
小林:実は、M2Xを導入する前から、私たちは別の電子帳票ツールを使っていました。いわゆる汎用的な帳票電子化のツールです。管理帳票の電子化には以前から取り組んでいて、設備に異常があったときには「設備異常処置報告書」を出してもらい、それを起点に修理対応するという運用にはなっていたんです。
ただ、運用してみると、これが思っていたほど機能していませんでした。一番の弱点は、リマインドや通知の仕組みがないことです。異常報告は次々と上がってくるのですが、誰が着手し、どこまで進捗しているのか?報告のその先に、タスク化してフォローしていく部分まで踏み込めていない状態でした。指示は出すのですが、その後の進捗は紙の時と同じで聞かないとわからない。毎日過去の帳票を遡って「これは直った?」「これは?」と現場に確認し続けるのには無理があります。通知が来ることもなく、対応がなされていないものをシステム側から知らせてくれることもないので、結果、そのまま埋もれてしまうことが頻発しました。
気づくのは、次にその設備を使おうとした時。「あれ、動かない」「そういえば前に誰か言っていたな」と。本来もっと早く直せたはずの不具合が、放置された結果として大きなダウンタイムにつながっていました。
社内のやりとりには一般的なチャットツールも使っているのですが、どうしても情報が流れていってしまい、こちらでもタスクを漏れなく完了するまでフォローすることは困難でした。
小林:結果として納期が近づいて問題が発覚し、残業や休日出勤で現場が無理を重ねて間に合わせる、という状況がよく発生していました。設備の場合、部品の購入に1ヶ月かかるようなケースもあって、影響が大きい。金型はうちの中でほぼメンテができるのですが、設備となると待ち時間が読みにくく、放置がそのまま玉突きで他の予定にも響くんです。
小林:電子帳票ツールには承認フローの機能もあったので、品質保証や生産管理など他部署のアカウントも用意して、電子的に回覧できる仕組みは整えていました。ただ、結局は能動的にアクセスしないといけないことから、その運用もなかなか習慣として根付かず、結局は紙に印刷して回覧するやり方に戻ってしまっていたんです。誰かのデスクで止まっていても気づけませんし、戻ってきたタイミングで内容を追う機会もなく、「いついつまでに直します」と言ったまま放置されているものも結構ありました。
ー M2Xを選ばれた決め手は何でしたか?
小林:「今、調子の悪い設備が見える化できるツールはないのか」「設備保全に特化したものがないのか」と、やり方も含めてずっと考えていました。電子帳票ツールの中で工夫する道はないかと探りつつ、外も見ていたという状況です。
そんな時期に、展示会でM2Xに出会いました。デモを見せていただいて、率直に「やりたいことができるツールだな」と感じたんです。リマインド、通知、担当者アサイン、ステータス管理、チャットでのやり取り。私たちが「電子帳票ツールではできなくて困っていたこと」に、ピタッとフィットしていました。
もう一つ大きかったのは、操作の軽さです。電子帳票ツールでは、1件ずつ別画面を開いて中身を確認する操作になるので、そのたびに読み込みが入り2〜3分待つことも当たり前でした。M2Xは、タスク一覧からクリックすると右側にパッと内容が立ち上がる。動作の速さも画面の見やすさも全然違いました。毎日何回と開いて使うものになっている今、これは大きな違いだと感じています。
ー M2X導入後、現場ではどのような変化がありましたか?
小林:一番変わったのは、残っているタスクが全員に見える化されたことです。やらないと消えてくれない。これだけの件数が残っている、というのがチーム全員に見えるだけでも、現場にとっては全然違います。期限に対する事前リマインドも通知で飛んでくるので、「あ、来た」と気づいて動ける。「壊れたのでやっておきましたよ」と、こちらが指示する前に動いてくれることも増えました。
以前のツールで運用していた時は、設備が壊れたことを把握しているのは、出した本人だけでした。私が翌日に帳票を見て、気づいて指示を出します。そこから、修理に必要な部品の見積もりを業者にお願いし、返ってくるまでにさらに2〜3日。長いロスが発生していました。M2X導入後は、その日のうちに見積もりをもらうケースも増えました。トラブル対応の「着手のスピード」が、目に見えて変わっています。
西谷:私もその点は劇的に変わったと感じています。以前のツールでは、報告を出してもそのまま埋もれてしまうことが多くて、応急処置だけして「動いてはいる」状態のまま放置されている設備や、他の機械から部品を取って何とかしのいでいるものも結構あったんです。M2Xに切り替わって、そういった見えない滞留がはっきり可視化されて、対応がちゃんと前に進むようになりました。
西谷:現場側の意識も変わりました。以前は、ある意味、課長に報告して後は課長に任せてしまっているようなところもあったのですが、今はタスクの実務担当者の欄に自分の名前が入るので、「これは自分の仕事」という感覚が芽生える。完了させるところまで、自分の責任で動くようになります。
また、残っているタスクは皆に見えるので、誰が手をつけているか、どこで止まっているかを、お互いが意識するようになりました。案件に対するやりとりもM2X上でタスク毎に残るので、それを後から追いかけられるのも大きいです。
小林:承認・確認の作業時間そのものも、私の感覚値で大きく短縮されています。以前のツールは5件あったとすれば10〜15分くらいかかっていたものが、M2Xだと3〜4分で確認しきれる。動作の速さと画面の見やすさが、件数を多く処理する立場にとっては本当に助かります。
ー 数字としてはどのような変化が見えていますか?
小林:目に見えてはっきり変わっているのは、まず休日出勤です。以前は月に2回ほど、修理対応のために土曜出勤するということが普通にありました。それが、年明け以降はゼロになっています。今、土曜に出ているのは「機械を動かしている平日にはできない作業」のための出勤だけで、修理が間に合わずに出る、というケースはほぼ思い当たりません。早く帰れている日も、確実に増えていると感じます。
もう一つは、突発停止からの復旧期間です。以前は、突発で機械が止まると2〜3日復旧できないことが珍しくありませんでした。M2X導入後は、止まっても1日以内に復旧する状態がほぼ標準になり、「2〜3日完全に止まる」ということが完全になくなりました。
1件あたりの承認時間も、先ほどお話しした通り、5件で15分かかっていたものが3〜4分。月で見れば、私の手元の作業時間がかなり浮いています。
ー 金型メンテナンスでの活用についても教えてください。
小林:金型メンテナンスの面でも、M2Xはかなり役立っていると思います。
私たちの業界では、金型のメンテナンス頻度は設備よりもかなり多いんです。週に1回、全バラシしてメンテナンスするものもあります。これだけ頻度が高いと、「前にいつ・どうやって対応したか」を記録する作業だけでも、かなりの時間を取られていました。
以前は、紙に箇条書きで残すか、写真を撮ってパソコンに取り込んでExcelに記録するか、というやり方でした。記録のために、現場の人がわざわざ作業を離れて、小さい画面に細かい文字を打ち込まないといけない。記録のひと手間が、本来のメンテナンス作業を圧迫していたんです。
M2XはUIがとにかく扱いやすく、現場のスマホで写真の添付やコメントもスムーズに操作できます。どこに何を書けばいいかが明確で、入力や情報の検索にかかる時間が大幅に減りました。結果として、1日にこなせるメンテナンス件数も増えていて、これまで記録に取られていた時間を、本来のメンテ作業に回せるようになっています。
小林:もう一つ、QRコードの活用も効いています。設備・金型ごとにQRコードを発行できるので、現場でスマホからコードを読み込めば、過去のトラブルとその対応履歴がその場で確認できます。「これはやってもダメだったか」「これは過去にこの手で直っているな」といった材料があるので、過去の対応を参考に、現場の若手がトライできるようになりました。夜間にトラブルがあると、以前は朝わかる人間が来るまで待っていたところ、夜間に復旧が完了することも増えてきました。

ー 導入の立ち上げは、現場にすんなり受け入れられましたか?
小林:正直なところ、現場にはほとんど抵抗なく入りました。電子帳票ツールで電子化に慣れていたこと、メンバーが20代〜30代前半中心で電子ツールへの抵抗が小さい世代であること、というのも背景にはあると思います。
西谷:現場側の感覚としては、ある日、小林がタブレットを持ってきて「これ、こういうことができるツールやで」と見せてくれて。よくメンテをしている主任クラスのメンバーと一緒に触らせてもらった時に「これはめちゃくちゃいい」と。気づいたら、自然に導入が決まっていた、という感覚です。「今までこれができていなかった、M2Xならこれができると思う」と、小林のほうから目的を共有してくれた上での導入だったので、現場としても意義をちゃんと理解できていました。みんな日々「今こういうことに困っている」というモヤモヤを抱えていたので、その課題に対する解として腹落ちしたんだと思います。
ー 今後、M2Xをどのように活用していきたいとお考えですか?
西谷:直近で力を入れているのはダッシュボードの活用です。3ヶ月に1回おこなう定期メンテナンスがあり、これは他の突発タスクとは区別して達成状況をダッシュボード側でモニタリングする形に切り替え始めています。M2Xのカスタマーサクセス担当にも相談しながら、自社の運用に合った可視化の形を模索中です。
西谷:あわせて、設備マスタ・部品マスタの充実も更に進めていきたいと思います。予備品の在庫がどれだけあるか、どこで買ったか、いくらだったか、というのも一元化していくと、調べる手間が減り、発注のリードタイムも短くできます。M2Xには発注管理の機能もあるので、これからそこも使っていきたいと考えています。
大きなテーマで言えば、これまで技術者の頭の中だけにあった情報を、M2X上に「記録」として積み上げていきたい。「記憶」に頼ってきた現場を、少しずつ「記録」が支える形に変えていく。これが、私自身が考えている今後の展望です。
小林:そうですね。運用を始めて1年弱ですが、QRコードからその設備の修理ヒストリーが見えるだけで、新人教育のツールとしても使える可能性を感じています。M2Xを軸に、そういう仕組みを育てていきたいですね。
ー 同じような課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。
小林:昔からのやり方は会社ごとにあると思いますし、もともと管理に力を入れている大企業様は、すでにシステムがしっかり回っていることも多いと思います。一方で、私たちのような中堅・中小の製造現場は、技術者一人ひとりの気遣いと記憶でなんとか現場が回っている部分も大きい。気が付く人が頑張ってホワイトボードを見に行って抜け漏れを防いでいたり。
M2Xの良さは「やらないといけないこと」がちゃんと見える、設備や金型の修理ヒストリーが残る、ということに尽きると私は思っています。それだけでも、私たちと近い課題を抱えている会社様にとって、検討する価値が十分にあるツールだと感じています。
京都プラテック様の事例は、「電子化済み」の環境にM2Xがもたらす価値を、私たちにも改めて示してくださるお話でした。電子帳票ツールで帳票電子化を進めてこられたからこそ、「電子化の先にあるタスク運用」「報告ではなく前に進める仕組み」という、より深い課題に向き合うことができ、そこにM2Xがぴたりと合った。そうご評価いただけたことを、大変ありがたく受け止めています。
月2回の休日出勤がゼロに、突発停止2〜3日が1日以下に、承認時間が3分の1以下に。これらは、「設備も金型も一番いいコンディションで保ち続け、ダウンタイムを減らす」という、京都プラテック様が掲げてこられた予防保全のテーマに、着実に近づいていることの表れだと受け止めております。数字以上に、「課長一人で抱えていた状況」が「チームで見える運用」へと変わり、現場が自走するきっかけになっていることに、開発・サポート一同、大きな励みをいただいています。
今後、構想いただいている、ダッシュボードによる定期メンテ可視化、部品マスタ・発注管理の本格活用、そしてQRコードを軸とした技術伝承の仕組みづくり。京都プラテック様の現場とともに、引き続きM2Xを進化させてまいります。
(取材・文:M2X)
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です